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立場が人をつくる ~心理学的考証

「立場が人をつくる」とはよく言われます。
経験則として、そういった事があるのはなんとなくイメージできると思います。
これを実験で明確にしたのが、有名な「監獄実験」です。

スタンフォード大学で行われたこの実験は、あまりの残虐性から、6日間で中止されました。
この様子は、映画「es」や「エクスペリメント」などで取り上げられています。

 

実験の内容はいたってシンプルです。
被験者を、監獄の囚人役と看守役にわけ、それぞれの役割を演じさせるというもの。
普通の学生たちが、数日のうちに豹変してしまいます。
看守役の被験者は、その残虐性を高めていきます。
禁止されていた囚人役への暴力が噴出し、独房への隔離、バケツへの排便強要など、普通では考えられない行為を行います。

もちろんこれはやることを強制されたわけでなく、自主的に行っているのです。

結果、複数名が異常をきたし、実験を離脱。
被験者の親族の申し出を受けて、実験は中止されることとなりました。

 

この事からわかることは、人には役割を与えると、その役割を無意識に全うしようという作用が働くという事。
異常ともいえるこの行動を、被験者たちは自ら作り出したわけです。

 

この実験は、人道的な意味でも心理実験の暗部として扱われていますが、これはポジティブな状況でも同じ効果が見られる可能性があります。

 

たとえば、「あなたはリーダーだ」と明確にすれば、その人はリーダーらしく振舞おうという無意識の力が働く可能性は高そうです。
これは全く別の実験ですが、教師に「あなたのクラスは優秀な生徒を集めた」と伝えた(実は、クラスの生徒はランダムに選ばれた普通の生徒たち)時に、クラスの生徒の平均点は大きく上昇したといいます。

これも、教師が、生徒を優秀であるという前提で扱った結果、生徒がその期待に応えたのだと言われています。

 

この事から考えたいのは、あなたは部下をどう扱っているか?という事です。
「あいつは、ほんっとにどうしようもないやつだ」
と思いながら扱うと、部下はどうしようもない振る舞いをします。
「あいつは、優秀な奴だ」
と思いながら扱うと、その部下はきっとあなたの期待に応えようと成長するでしょう。

 

これを、本当の意味での信頼関係というのではないでしょうか。
社員を、あなたが望む状態の人間として扱う。
これは道徳的な意味合いだけでなく、心理学的にも正しい人との接し方です。

 

さて、冒頭の話に戻りましょう。
もうお分かりですね。
立場は人をつくります。
その立場を明確にするためにも、リーダーは立場に応じた接し方をその社員に行わなければならない。

そうすることで、彼らはあなたの期待に応えようとします。

 

このカラクリを知れば、あなたがどうふるまうべきかが見えてくるのではないでしょうか。