この記事のポイント
- 「間のよさ」は運だけでなく、相手の状況を見て行動を合わせる力でもある
- 間が悪く見える人は、悪気がないまま相手の変化を見逃していることがある
- 間のよさをつくる力は、日々の仕事の中で試しながら磨いていける
世の中には、不思議なくらい「間のいい人」と「間の悪い人」がいます。
仕事が一段落したところで、ちょうど声をかけてくれる人がいる。その一方で、立て込んでいるときに限って、急ぎでもない話を始める人もいる。定休日に限って電話をかけてくる人。帰り支度を始めたとたんに「ちょっといいですか」と話し始める人。みなさんの周りにも、思い当たる人がいないでしょうか。
たとえば、こんな場面を思い浮かべてみてください。おやつを買ってきて、さあ食べようというときに、ちょっとした差し入れをいただく。
もちろん、ありがたいのです。持ってきてくださった気持ちもうれしい。ただ、お腹がすいているときにいただいたら、もっとうれしかっただろうなとも思う。ほしいときには来なくて、いらないときに来る。何か見えない力でも働いているのかと思いたくなります。
差し入れをくださった方に、落ち度はまったくありません。こちらがおやつを買ったことなど、知りようがないのですから。それでも、この小さな場面には、仕事にも通じる大事なことが含まれているように思います。
1.価値は「何をしたか」だけでは決まらない
同じ差し入れでも、お腹がすいているときなら「ちょうど食べたかった!」となったはずです。すでに買った後なら「ありがたいけれど、今じゃないんだよな」となる。善意は同じで、変わったのは受け取る側の状況だけです。
対人関係の心理学には「知覚された応答性」という考え方があります。相手が自分を理解し、尊重し、大切にしてくれていると感じられること、という意味です。何をしてもらったかだけでなく、「わかってもらえている」と感じられるかどうかも、受け止め方に関わってくるのでしょう。
親切とは、何かをしてあげることではない。相手が必要としているときに、必要としていることをすることだ。
これは営業や部下への声かけを考えるときにも、参考になる視点だと思います。
2.間が悪い人に、悪気はない
長年、営業の世界で人を見てきて、仕事ができる人には間のいい人が多いと感じてきました。私が見てきた範囲では、売れない営業マンに多かったのは、相手に合わせることができないという特徴です。
ただし、わざとそうしているように見える人は、ほとんどいませんでした。本人は一生懸命で、悪気もない。ただ、相手の気持ちや状況に気づいていないように見えたのです。
一方で、決めつけにも注意が必要です。一度「あの人は間が悪い」と思うと、その印象に合う出来事に目が向き、合わない出来事は見落としやすくなります。こうした情報の集め方や解釈の偏りは、確証バイアスと呼ばれます。本当に間の悪い行動が多い人もいれば、こちらの印象がそう見せているだけの人もいるでしょう。専門的な能力は高いのに、人の気持ちを読むのは苦手という人もいます。
ですから、「間が悪い人は仕事ができない」と言い切るつもりはありません。誰にでも、間を外すことはあります。大事なのは、同じ行き違いが続いたときに、状況や声のかけ方を見直せるかどうかです。
3.時間ではなく、人を読む
商談の場面で考えてみましょう。お客様が時計を見る。返事が短くなる。視線が資料から離れる。
間のいい営業は、ここで説明を短くしたり、質問に切り替えたりします。間の悪い営業は、用意してきた説明を最後まで続けてしまいがちです。
間が悪い人は、時間が読めないのではなく、人が読めていないのかもしれない。
NLPには「キャリブレーション」という言葉があります。同じ相手の表情や声、姿勢などを比べて、反応の変化を丁寧に観察することです。ただ、見ただけで相手の気持ちが正確にわかるわけではありません。時計を見たのは、時間が気になるからかもしれませんし、別の理由かもしれない。大切なのは、見て決めつけず、「お時間は大丈夫ですか?」と確かめることです。
4.間のよさをつくる4つの力
私は、間のよさを次の4つに分けて考えています。
- 観察力:相手の変化に気づく
- 想像力:相手の事情を考える
- 判断力:今すべきかどうかを決める
- 修正力:反応を見て、行動を変える
これらは生まれつきの才能というより、意識して練習できる部分があると思います。たとえば、部下に話しかける前に、数秒だけ相手の様子を見る。そして「今、少しいいですか?」と一言添える。まずは、そんなところから試せます。
この4つを持っている人は、周りから見ると「運がいい人」に見えるのかもしれません。
「いるいる」と思ったときこそ
ここまで読んで「いるいる、そういう人」と思った方もいるかもしれません。私もそう思って書き始めました。
けれど、やっかいなのは、自分の間の悪さには自分では気づきにくいということです。相手の反応が見えていなければ、間を外したことにも気づけないのですから。
あなたは今日、相手が何を求めているかを考えたでしょうか。それとも、自分が何を伝えるかばかりを考えていたでしょうか。
次回は、「ちゃんと説明したのに」という言葉から、伝えたことと伝わったことの違いを考えます。
相手に届く関わり方を、一緒に考えませんか
ぽるとソリューションでは、管理職の伝え方・関わり方を見直す企業研修や、営業の場面での関わり方を学ぶ研修を行っています。まずは、現場で感じている課題をお聞かせください。
※冒頭の画像は、差し入れの場面をテーマにしたAI生成イラストです。

28歳の時保険代理店業で起業し、保険会社の年間表彰に5年連続で選ばれる会社に育てる。
そのすぐ後、スタッフの半分が一気に会社を辞める事態になり「自分を変えなければ」と発起しNLPや心理学を本気で学ぶ。
『過去と他人は変えられないが、自分と未来は変えられる』ことを知り、全国の経営者やビジネスパーソンにもそれを伝えるため、セミナー活動や研修活動をしている。
【保持資格】
全米NLP トレーナー・LABプロファイル®トレーナー
交流分析士・心理カウンセラー・行動心理士

































