立場上、いろんな方のいろんな悩みを伺います。
家族関係の事、
人間関係の事、
ビジネスの事・・・。
これらは、多くの場合「絶対正しい」という回答はない事が多い。
だから難しいともいえるのかもしれません。
たとえば、ある方はこんな相談でした。
社内の社長と、ナンバー2である専務の関係について。
この二人、仲たがいをして一切会話がないそうです。
それを取り持つ、経理の方としてはなんともむず痒い状態です。
社長と専務は、その経理担当の方を通じてしかコミュニケーションできないわけです。
経理担当の方にとって、自分がその役割を担う事については決して嫌ではない。
とはいえ、会社のこれからを考えると、このままではいけないんだと思う、とのこと。
どうやら、社内において、社長も専務も、誰の意見も聞き入れない。
唯一、その経理の方のはなしだけは、そこそこちゃんと聞いてくれるそうです。
これ、どうすればいいでしょうか?
そんな相談が持ち込まれました。
まあ、現場を知らないとはいえ、そうなった経緯を丁寧に伺っていくと、見えてくる人間関係はあります。いくつかアドバイスできそうなこともないわけでもない。
ただ問題は、そのアドバイスを受け入れるかどうかは、自分次第なわけです。
実はその経理の方、あまり社長と専務の関係には深入りしたくないようなのです。
会社の将来云々という話をされていますが、実際のところは会社のトップ2の橋渡し役という立場が自分にとって重かったようなのです。
早い話が、ケンカならほかでやってよ、って感じなわけです。
こんな時に、社長と専務の間にどっぷり入って、関係改善を目指しましょう!という提案をしても経理担当の方は、「はあ、そうですね」なんていいつつ、多分結局は動かない。
どんな素晴らしいアドバイスも、本人の本当の想いと合致しなければやらないんです。
良くある話ですが、社長が会社の売上を上げたい、と考えたとします。
方法はいっぱいあります。
じゃあ、今までのやり方ではこれが限界だから、こんなことをやりませんか?と提案したとします。たいていは、「なるほどー」なんていいながら、実際はやらない。
なぜなら、会社の売上を上げたい以上に、自分とその周囲を変化させたくない、という思いの方が強いのです。自分にとって嫌なことを一切寄せ付けず、誰かのサポートで売り上げが良くなればいいなぁなんて思っているわけです。
こんな事例からもわかるとおり、人は自分が本当にやりたいとか、やれると思った事でなければ行動に移すことはあまりありません。そんな時、どんな画期的なアドバイスも、多くの場合は「いいね」なんていいながら消えていくのです。
しかし、面白い事に、こういう方に質問返しをしてみます。
「あなたは、どうすればいいと思いますか?」と。
すると、とつとつとしゃべりだすんですね。自分がやるべきことを。
ああ、じゃあそれ、やればいいじゃないですか。
あなた、答えもってるじゃないですか。
何て言うと、本人、ハッとします。
実はすでに自分でやるべきことがわかっていたり、決めていたりするものなんですね。
しかし、今一つ踏ん切りがつかないのは、
もっと楽な方法があるかもしれない
もっと効果的な方法があるかもしれない
そんな期待感から、専門家に話をききたがるわけです。
ただ、実際は、楽して儲かるとかいう類の話はありませんし、苦も無く人間関係の問題を解消なんて言う話もありません。あとは、そこへ向かう方法として、自分として納得感があるか?自分でできそうだと思えるか?という部分だけなんですね。
結局、技術的な問題は専門家のアドバイスで良いやり方は見つけられるかもしれませんが、それ以外の部分に関しては実は、自分の心の奥底に持っている方法がもっとも手を付けやすい事がほとんどなんです。つまり、相談を受けた側としては、あれをやれ、これをやれ、というより、その奥底にある解決を引き出してあげて、背中を押してあげることが一番大事なんじゃないかな、という風に思います。
やらないことは結果が出ない。
人から提案されたことはやらないことが多い。
それならば、自分で持っているこたえ、たとえ稚拙であったとしてもやり始める方が結果が出やすいんじゃないでしょうか。
色んな人を見て、そんな風に感じるのです。
28歳の時保険代理店業で起業し、保険会社の年間表彰に5年連続で選ばれる会社に育てる。
そのすぐ後、スタッフの半分が一気に会社を辞める事態になり「自分を変えなければ」と発起しNLPや心理学を本気で学ぶ。
『過去と他人は変えられないが、自分と未来は変えられる』ことを知り、全国の経営者やビジネスパーソンにもそれを伝えるため、セミナー活動や研修活動をしている。
【保持資格】
全米NLP トレーナー・LABプロファイル®トレーナー
交流分析士・心理カウンセラー・行動心理士