人生100年時代という言葉が、今のキーワードの一つですね。
その元ネタとなった本、「LIFE SHIFT(ライフシフト)」ではなるほど、と思わされる内容が満載です。
たとえば、これまでのライフステージは3つに大別されたといいます。
〈教育〉〈仕事〉〈引退〉の三つのステージです。
ざっくりいえば、20歳くらいまでは教育のステージ。
学校で学ぶことが青少年の勤めです。
彼らは、これから社会出て必要となることを学び、それを活かして就職する。
二つ目のステージは仕事。
だいたい、20歳前後から60歳代くらいまででしょうか。
この期間は一日の大半を勤務先で過ごし、仕事をして糧を得てきました。
三つ目のステージは引退。
会社を退職したのちの、いわゆる老後生活と言われる期間です。
ファイナンシャルプランナーの今までの仕事は、この3つのステージをもとに考えられてきました。
<仕事>の期間に稼いだ一部を蓄え、<引退>期間の生活を担保する。
結果として、公的年金のシミュレーション、保険や金融商品での運用、そんなことがFPが扱う話の中心でした。
さて、ここで長寿時代がやってきたわけです。
今までの人生はまあ長くて80歳までのイメージでした。
それが100年時代になる。
つまり、20年の延長です。
話を分かりやすくするため、年齢の刻みをシンプルにします。
20歳~65歳の45年を<仕事>ステージだとしましょう。
寿命を80歳と考えると、
65歳~80歳の15年を<引退>ステージとします。
この時点で、45年間で引退の15年間の生活費を準備することになります。
これが100年寿命の時代になると、
<仕事>ステージが45年間
65歳~100歳までの35年間が<引退>ステージになります。
つまり、45年で、引退後の35年の生活資金をためなければなりません。
普通に考えて不可能でしょう。
さらに、年金支給額は減る傾向と考えるのが一般的でしょう。
金融商品はほとんど運用益を出せない状況。
社会保険料の負担は大きくなった今、より長い老後生活の準備なんてできるはずがありません。
一方で、国もこの<仕事>期間を長くしようと考えているようです。
定年年齢が、70歳、75歳と伸びていくかもしれません。
じゃあ企業としてそれが望ましい状況かと言えば、おそらくそうとも言えないでしょう。
企業だってギリギリでやってます。
できることなら新陳代謝を測りたいところ。
そこで、LIFE SHIFTが提案するのは、<仕事>ステージの中間に<教育>ステージをもう一回はさみましょう、と。
その根拠は、一時期の学習機関で学んだことが有効なのは、せいぜい40歳代ぐらいまでが限界ではないか?というのです。
だからその後の数十年に備えて、もう一度ちゃんと別の専門分野を学ぶべきだ、と。
こういった流れが、国の制度として確立するかどうかはわかりませんが、おそらく個人レベルではこういった戦略は持たざるを得ないと思います。
そういった流れの一部となっているのが、今でいう副業ブームではないでしょうか。
二つ以上の専門分野を持ち、それをうまくミックスさせて新たな仕事のジャンルを生み出す。
これが今の時代に求められていること、とLIFE SHIFTでは言っているように思います。
本書では、ファイナンシャルプランだけで、100年時代を乗り切ることは難しい。
そもそものライフプラン、つまり人生の在り方を見直す必要が出てくると言っています。
(本書については、経済学的観点のシミュレーションなども行われており、FPの方は必読の書です)
さて、ここでFP(ファイナンシャルプランナー)としてはどう動くべきでしょうか。
本当に100年人生時代がやってきつつある今、マネープランだけで何とかなるか、一度シミュレーションしてみるといいかもしれません。
いろんな数値を仮定してみても、たいていは老後が破綻するか、今の生活が破綻するかのどちらかでしょう。
そして残念ながら、そのシミュレーションがある日突然使い物にならなくなる可能性もあります。
たとえばですが、年金制度の廃止とベーシックインカムの導入です。
今の日本ではまだ極端な施策として注目されていませんが、海外では試験的導入などが始まっています。
すると、マネープランは根底から覆されますね。
もし仮に、そういった状況が出てきたとすると、人は「働く理由」を探し始めます。
きっと多くの人が混乱状態になるでしょう。
さて、そろそろまとめていきましょう。
●もしかしたら人生100年時代が訪れたとき、今までのように一つの会社で終生勤めあげるという文化は崩壊するかもしれない。
●人それぞれに、未来を見越した自身の人生戦略を考えなければならない状態になるかもしれない。
●お金の在り方や収入の形態は、今とは全く違う状況になるかもしれない。
●お金のやりくりだけで人生100年時代を乗り切るのは難しそうだ。
●人は2つ以上の専門分野を組み合わせて、新たな価値を創り出さなければならないかもしれない。
こういった現実が訪れたとき、FPは単なるお金の専門家として生きていけるでしょうか?
もちろん超高度に専門化したトップクラスの人はそれも可能かもしれません。
しかし、一般のサラリーマン世帯をクライアントに持つならば、その専門性は発揮する機会が少ないかもしれません。
その時に注目したいのが、「2つ以上の専門分野を組み合わせる」ということです。
人生の伴走者となるべくFPを志した方であれば、その人生をファシリテート(対象の相手の成果が上がるよう支援する)するというコンセプトはわかりやすい流れではないでしょうか。
その時に必要なのが、カウンセリングや、コーチングといったスキルや考え方になります。
未来に生きるFPならば、速い人はすでに学び始めているのがNLP。
一度体験してみませんか?
28歳の時保険代理店業で起業し、保険会社の年間表彰に5年連続で選ばれる会社に育てる。
そのすぐ後、スタッフの半分が一気に会社を辞める事態になり「自分を変えなければ」と発起しNLPや心理学を本気で学ぶ。
『過去と他人は変えられないが、自分と未来は変えられる』ことを知り、全国の経営者やビジネスパーソンにもそれを伝えるため、セミナー活動や研修活動をしている。
【保持資格】
全米NLP トレーナー・LABプロファイル®トレーナー
交流分析士・心理カウンセラー・行動心理士