やるか、やらないか。

先日、ある保険の営業の方とお話ししていて、こんな話が出ました。
「お客さまから決算書をいただけない。」
今、保険の提案に際して、決算書を頂く必要が結構あります。

生命保険の提案などの場合は、決算書で財務状況を
しっかり確認しなければいい提案ができないことも多いと思います。
その決算書、ある人はいただけないわけです。

 

しかし、別の会社の保険の営業の方とお話ししてました。
「ある会社では、決算書を頂けず困ってるんですが。」
すると、その会社の社長はおっしゃいました。
「え?ウチは全員、普通にもらってきますよ。」

 

このギャップは一体何なんでしょう・・・汗

 

同じ業種で、ターゲットも似たような中小企業。
営業の方は、どちらもベテランもいれば、新人もいます。
けど、ある企業では、いとも簡単に決算書を預かれるのに、
ある企業では、なかなかあずかれないといいます。

 

で、色々とヒアリングを進めていくと、衝撃的な事実がわかりました。

 

決算書を簡単に預かれる企業は、営業社員がなんの恐れもなく、こういうのです。
「保険の提案のために、決算書のコピーをください。」
これだけです。

しかし、決算書をなかなかもらえない企業の社員は、その一言が言えないのです。
つまり、いただけないのではなく、頂くお願いさえしていないという事です。

 

どうやら、決算書をもらえない会社の社員さん、
総じて頭がいいんです。
非常に頭の回転が速いから、こう考えます。
決算書って秘匿性が高いから、おいそれと下さいとは言えないよな。
この社長に、そんな事お願いしたら嫌な顔されそうだな。
関係が壊れたら困るな・・・。

 

そう考えて、結局言い出せずにいるのです。

 

バカになれ、とは言いませんが、考える前に実行したほうがいい事も多いものです。

ところで、決算書というもの、極秘にできるものではありません。
会社が一定規模になれば公開が義務付けられます。
小さな会社でも、債権者に対しては開示しなければならなかったりします。
実は、決算書って、本来は秘密に処理する類のものではないのです。
だから、経営内容がいい会社は、そうそう断ることはありません。

 

もう一つの視点があります。
まぁ、お客さんが決算書をあまり出したくない、と。
出すには相応の理由が必要になることもあります。
その時に、お客さんが開示したくない、と思う気持ちと開示したときに得るベネフィット(利益)を天秤にかけてみましょう。

言い出せない理由は、お客さんに何を提供できるかが十分理解できていないからだと思います。
それを一人でもいいし、営業チームで箇条書きに書き出すことで、
少しは思い切ったご案内をする後押しになるのではないでしょうか。

営業は逃げる手法がちょうどいい

かつて、生命保険のセールスをしていた時、興味深い状況がありました。
生命保険のセールスといえば、お客様に嫌われる営業の代表選手みたいなものです。
ある程度の関係性を持ったお客さまでも、やはり生命保険のセールスをさせて頂くと、少し引き気味になります。

 

しかし、あるタイミングからお客さまの態度が変わるんです。
それは、診査の時です。

 

ご承知の通り、生命保険を加入する際には、診査というものがあります。
お客さまの健康状況を確認し、生命保険に加入できる状態かをお医者様が診断するのです。
その時に、よくあるのは、血圧が高いとか、血液の検査がどうとか、まぁ不安要素が出てくるわけです。

 

その不安要素を耳にすると、けっこう怒り出すお客さまがいます。
「いや、そんなことないはずだ。」
当初は、いやいや検討した生命保険ですが、いざ、加入が怪しくなってくると、加入したくてしょうがなくなってくるんです。

「せっかく、加入しようと思ったのに、保険会社が断るとはどういうことか!?」
と本気で怒りだす方もいらっしゃいます。
断られると、一気にほしくてほしくてしょうがないものになってしまうようです。

 

これって、日常的にありませんか?
さほどほしいとは思っていなかったものの、売り切れてしまったと知った瞬間気になってしょうがなくなるとか。
人は逃したものを、ずっと追い求めてしまう傾向があるようです。

 

この背景には、非常に複雑な心理が働いているのですが、有能な生命保険セールス担当者は、保険をやるかやらないかが決まる前に、この診査を受けるよう勧める人も多いようですね。
無意識に、そんな心理効果を狙ったのかもしれません。

仮に、その保険に契約できなかったとしても、代案が提案できれば非常に楽にセールスができる事になりそうです。

 

営業という仕事につくと、ついつい、お客さんを押せ押せとばかりに、自分の商品を必死に売り込みがちです。そんな時に、スッとパンフレットをしまいながら、
「お客さまには、あまり関心がない様子ですね。今回は失礼します。」
なんていう風に、帰る準備を始めると、
「ちょっと、まって!」
なんていう話になることもあるようです。

ちょっと勇気がいることかもしれませんが、一度試してみるとよいのではないかと思います。

 

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