経済人には心理学は必要ないという誤解

時々、こんなお話を伺うことがあります。
自分は経済に生きる人間だから、
自分は会社経営にかかわる実務家だから、
心理学の勉強なんて必要ない、と。

 

実は、見ていてすごいな、と思うのは経営者やビジネスリーダーの中には、
心理学の知識なんかなくてもきちんと人の心をつかめる人はけっこういます。
人が何を考え、どう行動し、どこへ向かおうとしているのかを敏感に察知し、
会社のマネジメント、マーケティング、戦略策定などにうまく生かしている。
こういった天才的な感性を持っている人は確かにいます。
しかし、それは全体のごく一握り。
きっと、100名のビジネスリーダーがいても、その域に達している人は1名いるかどうかでしょう。

 

しかし、実際、例えば株価は人の心理で動くことがあるようです。
特定の株がある程度上がる。
すると周囲の人は、それを買うか買うまいか逡巡する。
この勢いだからまだまだ上がると考える人が多いと、株はさらに上がる。
ココがピークだと考える人が多いと、株は売られる。
株価が下がり始めると、乗り遅れまいと、根拠の乏しい状態でもつられて売る人が続出。

けっかとして、株価の変動は加速されていきます。

これは株だけでなく、最近の仮想通貨の価値でも同様ですね。

 

実は、人の行動の多くは、合理的判断に則っていないと言われています。
それを見抜いた一人が、ダイエーを一代で築き上げた中内功さんでしょう。
徹底的に安い特価品を設定すれば、その商品自体は赤字かもしれない。
しかし、それで店を訪れたお客さんは、特価品だけを買って帰るわけではない。
それを見越して、戦略的な価格設定を行ったのがスーパーマーケットのビジネスモデルの起点だと思います。
その後、次につながる戦略が打ち出せず、ダイエーは買収されてしまいましたが、間違いなく一時代を作り上げたビジネスモデルでしょう。

たんなる大学生の自己紹介ページが、これだけ巨大なビジネスになったFacebookもまた人の心理をうまく救い上げた結果でしょう。
「いいね!」ボタンや、写真機能、チャットや過去の思い出機能など、うまく交流を促進させ、承認欲求を満たす工夫が行われています。

誰かが財布のひもを緩めるとすれば、その誰かは常に人です。
なのに、人を知らずにビジネスをやるというのは、かなり危険と言わざるを得ません。

 

けっかとして、世界有数のビジネススクールにおいては、何らかの形で心理学を収めた人が研究に従事していることが多いようです。
実際に、ここ数年のビジネス書のベストセラーにおいては、人の心理を扱うものが多いような気がするのは私だけではないでしょう。
ブラック企業なんていう言葉が普通に使われるようになりましたが、これも問題は単なる長時間労働だけではありません。
メンタルの問題が、実は大きいウェイトを占めているのではないでしょうか。
どんなに労働時間を短くしても、ブラック企業は、ブラック企業。
そんな気がしてなりません。

経済人、経営者、ビジネスリーダー。
そういった人にとって、心理学はもはや必須科目。
私はそう考えていますが、いかがでしょうか。

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