災害の時に気を付けたい「正常性バイアス」

関西では地震があったり、現在は大雨で一部で避難勧告などが出ている状態です。
こういったときに気を付けたいことがあります。
それは「正常性バイアス」というものです。

 

このブログでは何度かご紹介した心理学用語ですが、改めてご説明させていただきます。

 

正常性バイアスというのは、災害などで非常に危険な状態に陥った時でも、人は「自分だけは大丈夫」と思う癖があります。
事例では、飛行機が不時着して期待が燃え始めているのに、誰一人逃げようとしなかったとか、韓国の地下鉄事故では火の手が上がっているのに、誰も逃げようとしなかったとか、
信じられないような事件が起こっています。

たとえば、津波の警報が出たとして、すぐさま逃げるでしょうか。
たとえば、大雨で洪水警報が出たとき、すぐさま逃げるでしょうか。
残念ながら、逃げない人が多いのです。

 

これはその正常性バイアスが作用している可能性が高いと思われます。

人は、命に係わる状態に置かれた時、心理的な不安を和らげるため「自分だけは大丈夫」と思い込むようにできているのです。

 

 

さて、巷では、企業のBCP(事業継続計画)の策定をするところが増えてきました。
災害が起こった時、いかに素早く行動し、事業を存続させる再建手段を発動するための計画です。
これも、こういった人の心理的要因を織り込まなければ、正しく機能することはありません。

 

たとえば、災害時の安否確認システムなんかでも、ある企業では「健康保険証番号」をパスワードに設定しており、これを入力しなければ安否情報を共有できなくなっているそうです。
災害で大変なときに、果たしてそんな番号を入力するでしょうか?
ついつい後回しになってしまうのは明らかです。

災害対策をうたっている企業は、非常時の人間の心理を十分理解しているとは思えないことがけっこうあるものです。
一方で、小学校でやっている避難訓練。
なんだかバカバカしい、と思いますが、ああいうことをやっていると体が覚えているものです。
非常時で考える時間がないときは、頭で考えるより、体で覚えていることのほうが動きとして確実に再現されます。
だから座学で教え込むより、実際に身体を動かしたほうがいい、と言えそうです。

 

さて、正常性バイアスの話ですが、はじめの出だしが肝心です。
「まあ、大丈夫だろう」とか、
「慌てふためいたらかっこ悪い」とか、
こういう感情が頭によぎった時、それを打ち消すよう努力してほしいのです。

非難の決断は迅速に。
あたりまえだけど、あまりできないことです。
これが難しいことである、ということを知っているだけでも大事です。
ぜひ、早目の行動をご決断ください。

 

今夜もまだ雨が続くようです。
お気を付けください。

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