営業というと話し上手。
ペラペラと雑談からはいって、気が付いたらセールスされてた。
なんとなく、営業のイメージってそんな風な捉え方をされてるようです。
だから、古いイメージだと、口下手な人は営業に向かない、なんていう迷信ができているような気がします。果たしてそれって本当なのでしょうか?
私の2年先輩に、なかなかセールスで目の出ない人がいました。
とても地味な方で、言葉も少ない。
日頃は存在さえも意識されないくらい目立たない人です。
本人も、セールスには向いてないのかなぁ、なんて悩んでいました。
けど、この方、その数か月後、すごい勢いで業績を上げ始め、チームでトップになりました。
彼が一体どう変わったのか、ちょっと気になりますね。
実は、彼は全く変わっていません。
相変わらず存在感は、ほとんどありません。
言葉も少ない。
私が、「すごいですね!」と声をかけると、ポツリポツリと話し始めます。
「やっと営業の面白さがわかってきたよ。」
なんてはにかんだ笑みで言ってました。
諸説ありますが、私は、セールスに雑談は不要だと思っています。
もちろん、やってはいけないというものではありませんが、お互い仕事です。
無理にする雑談で時間を浪費するくらいなら、ずばり、相手にメリットのある話題をしたほうがいいと考えています。
雑談は確かに、アイスブレイク(心を解きほぐす)ために、お互いを知るためにできればいいに越したことはありませんが、「雑談しなきゃ!」なんて義務感でしてもいい効果は見込めません。
私自身のセールスは非常に時間が短いです。
たとえば、新規のお客さんのところで何を言うかといえば、
「なぜ、私のようななんのかかわりもない人間に合ってくださっているんですか?」
と聞くわけです。
これ、心理学的に言うと、認知的不協和の状態なのです。
認知的不協和というのは、Wikipediaによると、こうあります。
人が自身の中で矛盾する認知を同時に抱えた状態、またそのときに覚える不快感を表す社会心理学用語。 アメリカの心理学者レオン・フェスティンガーによって提唱された。 人はこれを解消するために、自身の態度や行動を変更すると考えられている。
お客さんは、セールスマンなんかと会うつもりはないわけです。
しかし、電話アポイントの結果、会う事になってしまった。
すると、会うつもりがないのに、会ってしまっている事実とのギャップを埋めるために、会ってしまった理由を考えるのです。
そうすると、私の名刺(仕事内容)と、お客さん自身の過去の体験を結びつけ、
「実は、以前こんなことがあって、気になってたんで聴きたいと思って…」
といったあった理由を話し始めます。
これは、一見心理操作に見えますが、実はそうではありません。
そもそもお客さんは無意識に、何かを期待してアポイントを受け入れたのです。
しかし、その時の理由は無意識なのでわからないか、覚えていない。
自分ではなぜかわからないけど、口では「あってみようか」という返事をしていたはずなのです。
心理操作ではなく、お客さんの心の奥底にある思いを意識上に引き上げただけなのです。
さて、冒頭の地味な営業の先輩。
実際には何をやっていたかというと、こうおっしゃっていました。
「自分ではしゃべれないから、ただただ真剣にお客さんの言葉に耳を傾け、お役に立てることがないかを必死に探したんだよ。」
ということですね。
なーーんだ、って感じかもしれません。
しかし、本質ってそういうものではないでしょうか。
それをどこまで徹底できるかで、結果は変わってくるものではないかと私は信じています。
28歳の時保険代理店業で起業し、保険会社の年間表彰に5年連続で選ばれる会社に育てる。
そのすぐ後、スタッフの半分が一気に会社を辞める事態になり「自分を変えなければ」と発起しNLPや心理学を本気で学ぶ。
『過去と他人は変えられないが、自分と未来は変えられる』ことを知り、全国の経営者やビジネスパーソンにもそれを伝えるため、セミナー活動や研修活動をしている。
【保持資格】
全米NLP トレーナー・LABプロファイル®トレーナー
交流分析士・心理カウンセラー・行動心理士