殺伐としたオフィスが出来上がる過程

ある保険代理店の事務社員が、こんなことを言っていました。
「保険会社に電話しても、朝礼とか会議とかで、なかなか話が出来ないんですよね…。」
その話、当社も保険代理店をやっているからよくわかります。

平気で、朝礼だから、会議だから、と急ぎの電話も取ろうとしない。
保険会社は売り上げの多くを保険代理店が作ります。
保険代理店はお客さんと直結しています。
つまり、保険会社にとって保険代理店の連絡は、お客さんに関わる話である可能性が高い。
にもかかわらず、何よりも朝礼や会議を優先させる。
いわゆる「顧客ファースト」という感覚からはちょっとずれている気がしないでもありません。

 

そういった大きな会社の中では、一人の顧客に貢献するよりも、上司に嫌われないようにした方が評価が上がる。
そんな文化がある可能性もあるでしょう。
つまり、動機の強さは、顧客のために働くというより、上司のために働く。
もっといえば、自分の保身のために働く。

 

さて、そんな彼の上司の仕事は何でしょうか?
数字達成のための部下への尻たたきだと思っているケースが意外と多いのです。
となると、会議は以下に部下の数字が足りないかを”身をもって”知らしめる時間となりがち。
そりゃあ、メンタルヘルスの問題を抱える社員も出てくるはずです。

 

本来、上司は部下を育てるのが仕事であると考えられるのではないでしょうか。
では育てるというのはどういうことでしょうか。
今、多くの企業で繰り返されているのは、部下に負荷をかけて育てる、ということ。
とにかくノルマを課して、それができなければできるまで追い込む。
残業は増え、社内は殺伐とし、おもったほどに業績は上がらない。
うつ病で休職する人が増え、いじめのような会議のために顧客とのビジネスの機会損失がおこる。

 

上司は1000万円の報酬を受け取り、会社に2000万円の損害を恒常的に与えている。
そんなことだって起こっていないとは言い切れないかもしれません。

 

一昔前は、俺の背中を見て学べ。
そんなこともあったのでしょうが、果たして自己保身に走り、部下をモノのように扱う上司の背中に、学ぶべきものがあるのでしょうか。

 

もう一つ問題があります。
モーレツサラリーマン時代であれば、生きていくためには会社に残り出世するしか方法はなかった。しかし今では、会社をクビになったって即座に死を意味するわけではない。生きるだけなら健康でさえあれば、何なりと方法はあるわけです。

選択肢が今の会社で生涯を暮らすこと、というもの一つではない。
そうすると、働く意義というものを探さざるを得なくなる。

 

こういった部下を導くことを、コーチングといいます。
コーチングの前提には信頼関係が必要です。
NLPではそれをラポールと呼んでいます。
そのラポール構築のために、NLPのテクニックを使うことももちろん一つの手段です。
ただそれを飛び越えた話をさせて頂くと、上司は部下の何を知っているのでしょうか。

 

男か女か?
名前や役職?
住まいや生まれ故郷?
家族構成?
ちょっとましな上司なら、誕生日くらいは覚えているかもしれません。

ただこれって、ただの”情報”です。
何を知るべきかといえば、社員がもっている価値観です。
それを知ることで、社員を伸ばす方法が見えてきます。
ぎゃくに、それを知らずして伸ばせるはずがない、と私は感じているのです。

 

その価値観を上司に開示すれば、部下は上司に全幅の信頼を置くようになる可能性は高まります。上司のために働きたい。そう思ったときの人間の成長は、あり得ないぐらい目を見張るものがあります。

 

うつ病での休職が続出するチームと、目を輝かせて仕事に打ち込むチーム。
あなたならどちらを選びますか?

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