紛糾する会議。八方美人の議長が陥りがちな罠

経営者の団体なんかの役員会を見ていると不思議な光景を目にすることがあります。
たとえば、あるプロジェクトをスタートさせようと委員長が決められます。
そして、委員長が議長を務め、会議を始める。
しかし、一向に内容が出来上がらないのです。

委員長は言います。
「みな平等に意見を聞きたい」
たしかにそれは大事なことです。
一人一人の意見を聞き、それを大事に扱う。
リーダーにとって素晴らしい心がけだと思います。

しかし、その委員長はだんだんとつらくなってきたのです。
なぜなら、一人一人の意見を聞けば聞くほど、それは一つの行動に収束していかないのです。
たとえば、Aさんがそのプロジェクトを告知するのにポスターを作ろうといったとしましょう。
Bさんはポスターを作っても意味がない。
だからチラシを配布しようという。
一方、Cさんはコストの無駄だから、メールでいいんじゃないかという。

委員長は一人一人の意見を耳にしながら、いったいどうすればいいんだろう?
と相談先を広げていきます。
重鎮と呼ばれるDさんは、会報の中に載せればいいんじゃない?
すでに現役を退いたものの、影響力を持つEさんは、いやいや会合で周知すればいいという。
委員長は結局訳が分からなくなってしまいました。

 

そんな様子を見てて思うのです。
委員長だっていっぱしの経営者。
ちゃんと決断しろよ、と思うのですが右往左往するばかり。
相談先を増やして、新たな意見が乱立してアップアップ。

 

この委員長、もしかしたらいわゆる八方美人なのかもしれません。
あの人からも好かれたい、この人からも好かれたい。
だから、どれかを選ぶことができない。
みーーんな大好き、といってみんなから嫌われるパターンなのかもしれません(苦笑)

 

委員長の心理状況を推察すると、自分で決めることを避けている可能性が高いと感じられます。
自分で決めると責任を負うから、誰かに決めてもらいたい。
複数の人の意見を聞くことで、共通点を見いだせたら楽だなと思っていろいろ話を聞いてみた。
それでも決定打は現れない。
選択肢は増える一方で、結局気を遣う範囲を増やしただけ、という困った状況に陥ってしまう。

 

意外とこういう人、決断を常に求められる経営者でさえ非常に多いのです。
その原因は先ほども言ったとおり、問題が起こった時に泥をかぶりたくないのです。
そこから逃げ腰だから決めることができない。
また、自己重要感が低いとも言えそうです。
訊いた意見を採用できなければ、人間関係が危ういと感じているのでしょう。
その程度の友情ならないに等しいと思うのですが・・・。

 

もしそんな状態になったとしたら、皆さんの意見をまずは受け入れてみることはもちろん大事です。
ちゃんと受け入れ、議事録にはそのように載せるし、それぞれの意見について評価はします。
けどそのうえで、論理的であれ、感情的であれ、自分の考えを発信する必要はありそうです。
たとえば、「皆さんの意見はこうだけど、私はこうしたい」といったところで、ちゃんと人間関係が築けていれば、何の問題も起こりません。
いえ、むしろ応援されることのほうが多いでしょう。

それを自分に自信がないから、言い切れない。
だから議論は紛糾し、逆にその委員長の評価はダダ下がりです。
その根本にアクセスするには、自己肯定感を上げる必要があります。
そんなワークをNLPで体験してみるのも一つの手かもしれませんね。

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