この記事でわかること
- 事務的な接客対応は相手の不安を増大させトラブルにつながる可能性がある。
- 人を望ましい方向へと動かす言い方にはミルトンモデルが活用できる。
- あいまいな表現を使うことで相手の無意識にはたらきかけ、望ましい方向へと導こう。
こんにちは、うっちゃんです。
ぼくは満トレからビジネス心理学を教わっています。
先日、お客様とのお電話にてぼくの失言でトラブルが発生しました。
たったひと言で人間関係が簡単にこじれることを痛感し、非常に後悔しました。
今回はトラブルの後に満トレから教わったことを紹介します。
どんな内容でも言い方次第では人間関係のトラブルに発展してしまう
まずはどのようなトラブルだったか振り返ります。
ぼくは保険代理店の事務員です。
お客様は自動車保険をご契約いただいているAさんです。
Aさんは交通事故の被害に遭い、保険代理店にお電話をおかけになりました。
交通事故に遭ったんですけど、どうしたらええ?
交通事故ですか。
お怪我はありませんか?
警察にはもう連絡しましたか?
怪我はないけん、大丈夫よ。
警察も呼んだし、相手の連絡先とかも控えてる。
お怪我がなくてよかったです。
では、いまから保険会社の事故受付センターの電話番号をお伝えするので、そちらに直接おかけください。
え?君が事故受付してくれないの?
はい、当店の方針で事故受付は保険会社に任せております。
なんじゃそれ!代理店の意味ないやないんか!
何のためにお前のところで契約しとるんぞ!
結局Aさんには保険会社に直接連絡してもらいましたが、お店にはクレームが入ってしまいました。
今回の対応はなぜAさんに不快な思いをさせてしまったのか、ぼくはどのように対応すればよかったのか?
ビジネス心理学の観点で満トレから教わったことを解説します。
たった一言が人間関係のトラブルに!お客様が不快な思いをした理由
まずAさんの心理を考えていきます。
一個人にとって交通事故は頻繁に起こることではないので、Aさんは事故対応に不慣れでしょう。
どうしたらよいかわからず、きっと不安を抱えていたと思います。
そして不安を抱えながら保険代理店に電話をかけると、「保険会社に電話するように」と事務的な対応をとられました。
不安は増大し、やがて怒りがわいてくるでしょう。
なんでだれも俺を助けてくれないんだ・・!
人の行動を支配する無意識は「安心・安全・楽・快楽」が大好きです。
逆に無意識は不安が大嫌いなので、不安を与えてくるものには抵抗します。
つまりぼくの事務的な対応がAさんの不安を増大させてしまったのがトラブルになりました。
また、ぼくの事務対応も振り返っておきます。
保険金請求するためには事故処理が必要なので、Aさんが契約した保険代理店に連絡するのは自然な流れです。
実際、昔から多くの保険代理店は事故受付をサービスとして提供しています。
ただ、ぼくが在籍している保険代理店は「お客様自身に保険会社に事故連絡を直接してもらう」ようにしています。
(保険代理店はサービスとして事故受付をしているので、これは何の問題もありません。)
保険会社には事故受付や処理の専門チームがあります。
保険会社に直接連絡する方が話が通りやすく、理解されやすいのです。
さらに保険代理店をはさまないことで情報伝達ミスのリスクが下がり、情報を何度も聞かれず、お客様の手間も減ります。
保険金がいくら支払われるかの判定も保険会社でされるため、直接連絡する方が圧倒的にメリットが大きいのです。
したがってぼくが在籍している保険代理店ではお客様から保険会社に直接連絡してもらっています。
しかし、今回のように事務的な対応ではお客様の不安を増長すればトラブルになるのは当然でしょう。
お客様に不安を与えずに保険会社に直接連絡してもらうにはどうしたらよいでしょう?
こんな時に活用したいのがミルトンモデルです。
ミルトンモデルの活用によって望ましい方向へと人を動かす言い方ができる
ミルトンモデルとは世界的な催眠療法家であったミルトン・エリクソンの言語パターンをモデリングしてまとめた手法です。
あいまいな表現を用いることで相手が自分にとって最適な意味として受け取れるようにします。
あいまいな表現を用いる理由は、聞き手があいまいな言葉を自分なりに咀嚼して、最も意味のある形で解釈しやすいためです。
ミルトンモデルを使うことで相手の無意識に働きかけ、望ましい方向へと相手を導くことができます。
ミルトンモデルにはさまざまなパターンがあります。
1.あいまいな表現を用いる
会話の中で直接的な指示をせず、あいまいな言葉を用いた会話を通して、巧みにメッセージを伝えていく。
2.逆メタモデルのパターンを用いる
意識的に「省略」「歪曲」「一般化」に満ちた言葉を用い、受け手に欠けた情報を補ってもらう。
3.間接誘導と接続詞を用いる
話し手が意図する命令などを会話の中に埋め込むなどといったことを通して、相手に無意識に一定の影響を与えることができる。
4.メタファー(隠喩)
厳密な隠喩だけでなく、ことわざなどをも含み、これらを通して相手が話の内容を無意識のレベルで受け取ることができるようにする。
これらの中でも、今回は2と3を活用した言い方を考えていきます。
まず2では意識的に「省略」に満ちた言葉を用い、受け手に欠けた情報を補ってもらいます。
具体的には「名詞化された言葉」を使って省略した言葉を使い、受け手に解釈してもらいます。
例えばこのように使います。
おだやかさと安心をもって望むことで会話の持つ可能性への理解が増えるものだよ。
名詞化された言葉には「誰の」「誰に対する」「具体的にどのような」という情報がありません。
受け手は言葉の解釈に広い余地を持ち、自由に解釈することができます。
人は物事を解釈するときに自分の経験をもとに欠けた方法を補って意味を見いだします。
ポジティブな言葉をかけると、受け手はポジティブな意味で受け取ります。
次に3では間接的な表現で相手を望んだ方向へと自然な形で導きます。
間接的な表現にはさまざまなパターンがありますが、今回は「会話中の要求」を使用します。
例えばこのような言い方です。
3時までにご連絡いただけませんか?
疑問文のようですが、実際には「3時までに連絡してほしい」という話し手の要求として相手に受け止められます。
会話中の要求を使うことで、間接的に自分の求める要求を伝えることができるのです。
では、これらを活用してAさんにどのような言葉をかけたらよいでしょうか?
例えばこのような言い方ができます。
交通事故に遭ったんですけど、どうしたらええ?
交通事故ですか。
お怪我はありませんか?
警察にはもう連絡しましたか?
怪我はないけん、大丈夫よ。
警察も呼んだし、相手の連絡先とかも控えてる。
お怪我がなくてよかったです。
そしたら、保険会社の事故処理の専門チームに直接つながる電話番号をお伝えするので、いまからかけていただくことってできますか?
その専門チームに直接ご連絡いただくとお客様の手間をできるだけかけずに、スピーディに保険金の請求ができるんですよ。
そうなんか。ええよ、何番なんぞ?
お客様から保険会社に直接連絡してもらうという流れは同じですが、言い方ひとつで印象が大きく違うと思いませんか?
今回のトラブルは言い方ひとつで相手に与える印象が大きく変わることを学んだ一件でした。
今後も満トレからビジネス心理学の研修を受けて接客対応を改善していきたいと思います。
もしよければ、みなさんも一緒に満トレから指導を受けてみませんか?
職場の雰囲気改善や顧客との信頼関係にきっと役立つと思います。