「これしかない」という思い込み

今まであんなにこだわっていたことが、ある日突然、どうでもよくなることってありませんか?
たとえば、私は音楽が大好きでした。
中学時代は、ビートルズ、それもポール・マッカートニーの大ファンでした。

彼の影響で、ベースを弾き始め、日々練習していました。
ただ、やっぱりロック系の音楽ってベースが目立たない。
より目立ちたい私は、ジャズの世界に魅了され、そこそこうまくもなりました。

たぶん、自宅にいて、寝るかご飯食べる時間以外はベースを弾いていました。

 

けど、あるタイミングを機に、まったくベースを弾くことに関心を失いました。
クルマを買おうと毎日バイトに明け暮れていた時期です。
昼間は工場で働き、夜にはファミレスで働く。
そんな日々を繰り返しているなかで仲良くなった女の子とデートする。
毎日が、バイトとデートで埋め尽くされました。
もうすっかり、楽器を弾くことはやめてしまいました。

とはいえ、デートと車と音楽というのは当時は切っても切れない縁。
ということで、CDだけは毎週のように買いました。
(当時は音楽のMP3とかの配信はなかった時代です)

 

で、仕事を始めると、紆余曲折はあるものの、仕事に夢中になりました。
するともう音楽はどうでもよくって、クルマに乗っていてもfmを流す程度。

 

そんな折、古い友人から電話がありました。
中学時代の友人です。

「こんど、ポール・マッカートニーが来日してライブをやるんだけど、一緒に行かない?」と。
私は丁寧に断りました。

もうあんまり関心がなかったんです。
あの時はそれがすべて・・・と思っていたような気がしてたんですが(苦笑)

 

まあ、そういった有名人や、モノや音楽。
夢中になっているときは、それを奪われたら生きていけないとさえ思います。
けど実際は、どうなんでしょう。
今私は、ポール・マッカートニーの音楽が聴けなくても、ベースが弾けなくても、あんまり気になりません。
同じ人間なのに、どうしてこうも変わってしまうのでしょうか。

 

私に関して言えば、心の空白を埋めるものが常に必要だったのかもしれない、と今なら思います。
何かに夢中になっていないと、生きてる実感が感じられないんです。
これが友達といつも一緒にいてそれが楽しいなら、それもあり。
運動をするのが楽しいなら、それもあり。
漫画を描くのが楽しいなら、それもあり。
まあなんでもいいのですが、心の空白を、人は何かで埋めたくなる。

 

私の場合、どちらかというと器用貧乏。
どれも圧倒的にうまいわけじゃないけど、下手でもない。
そこそこ、中の上ぐらいまではできるようになる器用さはあります。
だから、熱中する対象は変わってもあんまり問題がない。

ただ、いわゆる不器用で「これしかできない」と思う人はどうすればいいのでしょう。
たぶんですけど、その人は素質からして不器用か?というとそうでもないと思います。
その人の心の中にあるストーリーは、不器用な自分はどれだけ頑張ってもなかなかうまくいかない、という自分像があるんじゃないかと思います。
唯一できるのがこれなんです、というのは案外思い込みじゃないかな、と思うのです。

 

そこそこ器用を自負する私が言っても説得力はないと思いますが、上手くいかない時はジャンルや場所を変えてみるとうまくいくことはけっこうあります。
それは例えば、職場を変えることかもしれないし、学校を変えることかもしれない。
「どこに行っても同じ」と感じることもあるかもしれないけど、その環境そのものがあなたをそう思い込ませている可能性はけっこうあると思います。

そして「これしかない」と思うのは、困ったくらいの思い込みです。
あなたの可能性は無限です。
これしかない、ということなどありえない。
その思い込みを外したとき、新たな人生が見え始めるのではないでしょうか。

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