「良い人材が集まらない」「せっかく育てても、外に出ていってしまう」。そんなとき、採用方法や本人の意欲に目が向きがちです。しかし、その前に考えたいことがあります。
私たちの組織に、「ここで成長したい」と思える環境があるでしょうか。
高校野球を例に考えてみましょう。地元の有望な選手が県外の学校へ進む背景には、指導方針、練習環境、進路、家庭の事情など、さまざまな要因があるはずです。
その選択を「地元への思いが足りない」と捉えるだけでは、改善策は見えてきません。「どのような指導や環境を求めて、その学校を選んだのか」と問い直すと、自分たちが取り組める課題が具体的になります。
企業の採用や人材育成にも、この視点を活かせます。今回は、選ばれる組織をつくるための三つの着眼点を紹介します。
この記事のポイント
- 募集の工夫と、選ばれる理由をセットで考える
- 人材育成を、個人の経験だけに頼らない
- 決定する人と、実行する人の両方を巻き込む
1.募集の工夫と、選ばれる理由をセットで考える
情報発信や紹介ルートを強化することは大切です。ただし、その先にある育成環境や将来像が見えなければ、継続して選ばれることは難しくなります。
- 誰から、何を学べるのか
- 自分はどのように成長できるのか
- 困ったときに相談できる相手がいるのか
こうした問いに、現場の具体例で答えられるでしょうか。例えば「若手を大切にしています」という言葉に加えて、「月に一度、上司と成長や困りごとを話す時間がある」と説明できれば、働く姿を想像しやすくなります。
発信を増やすことと、発信できる中身を育てること。その両方を進めることが、組織の魅力づくりにつながります。
2.人材育成を、個人の経験だけに頼らない
技術や成果を求めることに加え、失敗から立て直す力、自分の状態を把握する力、周囲と対話する力を育てる。競技でも仕事でも、日々の行動に落とし込める育成を考えたいところです。
例えば、失敗した直後に一方的に注意するのではなく、「何が起きたと思う?」「次は何を試そうか?」と一緒に振り返る。声のかけ方を見直すことも、身近な一歩です。
ただし、指導者や管理職が、最初からすべてを担う必要はありません。外部の専門家による定期的な研修から始め、現場の指導者も一緒に学び、その内容を日々の対話に取り入れていく方法があります。
学びを現場に定着させる、三つのステップ
- 一緒に学ぶ:外部の専門家と、指導者・管理職が共通の考え方を持つ
- 小さく試す:声かけや振り返りなど、一つの行動から実践する
- 組織で続ける:定例の対話や事例共有に組み込み、必要に応じて専門家に相談する
研修後は、面談を実施できたか、相談しやすさに変化があったかなどを確かめます。大切なのは、研修を一度実施することではなく、学んだことを現場の習慣にすることです。
3.変革には、決定する人と実行する人の両方が必要
改善案が受け入れられないとき、相手の理解不足だけを理由にしてしまうと、対話は止まります。現場には、時間や予算、責任の所在など、外からは見えにくい事情があるかもしれません。
まずは「何が負担になるのか」「どの条件なら試せるのか」を確認し、誰に決定権があり、誰の協力が必要なのかを整理します。
経営層の承認と、現場が実行できる設計は、どちらも欠かせません。例えば、短い振り返りを期間を決めて試し、参加者の声と運用の負担を確かめる。小さな実践から、続けられる方法を探っていきます。
身近なつながりを、組織の力に変える
卒業生、取引先、地域の協力者など、組織の周囲には多くのつながりがあります。しかし、知り合いがいるだけで、自然に協力が生まれるとは限りません。
目的を共有し、無理のない役割を用意し、協力の結果を伝える。「何かあればお願いします」で終わらせず、例えば見学会への協力や育成についての意見交換など、参加しやすい機会を具体的につくることが大切です。
あなたの組織には、人が集まらない理由を探す前に、磨き直せる魅力や、まだ活かせていないつながりがないでしょうか。
人が育つ組織づくりを、一緒に考えませんか
ぽるとソリューションでは、管理職の伝え方・関わり方を見直す企業研修や、野球チーム向けのメンタル講演・研修を行っています。まずは、現場で感じている課題をお聞かせください。
※冒頭の画像は、人材育成と対話をテーマにしたAI生成イラストです。

28歳の時保険代理店業で起業し、保険会社の年間表彰に5年連続で選ばれる会社に育てる。
そのすぐ後、スタッフの半分が一気に会社を辞める事態になり「自分を変えなければ」と発起しNLPや心理学を本気で学ぶ。
『過去と他人は変えられないが、自分と未来は変えられる』ことを知り、全国の経営者やビジネスパーソンにもそれを伝えるため、セミナー活動や研修活動をしている。
【保持資格】
全米NLP トレーナー・LABプロファイル®トレーナー
交流分析士・心理カウンセラー・行動心理士







